Story
大学2年生の都筑計斗には、赤浦灯絵という高校の頃からの彼女がいる。
計斗の20歳の誕生日を数日後に控え、二人はささやかな誕生日パーティーの計画を立てていた。
だが、当日彼女は来なかった。
代わりに来たのは、彼女がトラックにはねられたという報せだった。
葬式を済ませてもまだ実感がわかず、部屋で途方にくれる計斗。
その時、ドアベルが鳴った。
そこには、死んだはずの灯絵が立っていた。
誕生日ケーキを携えて、いつもと変わらない笑顔を浮かべて。
夢ではないかと疑いながらも、灯絵を部屋へ迎え入れる計斗。
だが、この時計斗は気づいていなかった。
これは何度も繰り返される誕生日の、ただの始まりに過ぎないということに。
忘れるたびに抱きしめて、別れるためにキスをする。
これは『時縛霊』になってしまった彼女との、愛と喪失の物語。